メシアン全集をドイツ・グラモフォンが出す意義
メシアン全集をしばらく前に入手したのだが、他にも未聴CDの在庫が膨大にあり、全部聞きとおすのはかなり先のことになりそうだ(何しろモーツァルト大全集170枚組がある)。
とりあえずウォークマン向けにリッピングを始め、同封されているブックレットをパラパラめくってみた。ブックレットは380ページもあり、全作品の解説と歌詞がフランス語と英語で書かれた立派なものだ。老眼が始まった私にはこのCDサイズのブックレットを読み通す根気はないが、メーカーの気魄が感じられる。
録音データを見て気が付いたのだが、この全集に収録されている録音の大部分はUniversal Classics Franceによるもので、Detusche
GrammophonやDECCAは少ない。にも関わらず、全集をドイツ・グラモフォン(DG)レーベルで出したのには、それなりの理由があるだろう。
一つ考えられるのは、DGのブランド力だ。1960~1980年代にかけて、カラヤン、ベームなど一流演奏家はほとんどDGからアルバムを出していた。私はその時代にクラシック音楽を覚えたので、信頼できるブランドという印象は強い。現代音楽の市場規模は小さいので20世紀後半のフランスを代表する作曲家メシアンといえども商業的には全集の売上げに多くを期待できないだろう。せめてDGのブランド力を活用して売上げを極大化したいと考えたのかもしれない。
そしてもう一つはフランスとドイツとの関係だ。歴史的にはフランスとドイツとは犬猿の仲であった。特に第二次大戦ではナチス・ドイツがフランスを占領して多大な被害をフランスに引き起こしたことは周知のとおりだ。
今日のEUは、元をただせば仏独が二度と戦火を交えて周辺ヨーロッパ諸国を含めた悲劇を繰り返さないようにすることが大きな目的だった。仏独が友好関係を維持することは西~中央ヨーロッパにとって極めて大きな意味がある。
20世紀後半のフランス最大の作曲家メシアンの全集をあえてドイツのレーベルで出すことは、仏独の文化的な友好関係を示すという特別の意義があるのだろう。
Olivier Messiaen Complete Edition
Deutsche Grammophon 480 1333



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