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2009年1月12日 (月)

「市場リスク 暴落は必然か」リチャード・ブックステーバー

Risk 原題はA Demon of Our Own Designという。直訳すれば「我々自身が設計した悪魔」となろう。ここでいう悪魔とは、昨年来の金融危機を招いた金融商品とその市場だ。

 

アメリカ金融市場の当事者だった著者がいくつかの金融機関を渡り歩いた中で見聞した経験に基づいて、なぜ有名な金融機関が莫大な損失をこうむったのか具体的な逸話で語っている。

 

多数の人物が実名で出てくるので、この業界にいた人なら、「ああ、あいつがこんなことをやっていたのかっ!」というような楽しみがあるだろう。

 

これらの逸話で繰り返し語られているのは、高度な金融工学を駆使していたはずのアメリカの投資銀行で、実はリスク管理や内部統制が十分には機能しておらず、成功報酬の巨額のボーナス欲しさに担当者が無茶な投資をしても見過ごされていたということだ。

 

今回の金融危機が発生するまでは金融工学が高度で精緻なものであるかのような印象で語られることが多かったが、本書を読めば、決して金を確実に生み出すマシーンのようなものではなく、あくまでもそれを使う人間の能力次第であることがわかる。

 

考えてみれば、工学は、こうすれば良いという確実な方法をあらかじめ教えてくれるものではなく、事実と仮説との乖離の検証を繰り返しながら、確実性の高い方法を編み出していくものだ。「金融工学」のバイブルを持ってさえいれば金がじゃんじゃん入ってくるということはなかったのだ。その他の工学と同じように、その技を使う人間の能力と心がけに依存するのだった。

 

十分なリスク管理の方法・体制が整わないままに金融工学のモデルだけが複雑化してしまった結果が金融危機だった。著者が提唱するのは、もっと商品を単純化して、人間の能力でコントロールできる範囲でリスクを取ることである。

 

なお、本書で、オプション、スワップなどの一般的なデリバティブについては読者が知っている前提で書かれている。そういう知識がない人には読みにくいだろう。

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